ボディーシャンプーのついたお兄ちゃんの指先が隠れていたクリトリスを探りあてた。まだ小さな突起を指の腹で優しく擦り始める。痺れる快感がクリトリスから湧き上がり、下半身が熱くなる。
「あっふぅ~、あ、あ、あ、いい、気持ちいい」
「指先を左右にして擦ったほうがいい?」
「あ、あ、あ、いい、いい、お兄ちゃん、良すぎるよ! あっふぅ~」
「蒼《あおい》足を広げて、割れ目の奥も見せて」
「お前たち、一緒に風呂に入っていたのか」
大丈夫だと思っていたのに、ばれていた。
それが原因で私はイギリスに、お兄ちゃんは家を出された。
「蒼《あおい》、大学を卒業したら迎えにくるから、待っていてくれるか」
「お兄ちゃん、蒼《あおい》はいつまでも待ってるから」
別れ際にお兄ちゃんと交わした最後の言葉だった。
早春を告げるかのように、肌寒い夕闇に沈丁花の甘い香りが漂う中を、私はお兄ちゃんの後姿を見送った。