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双葉学園高校普通科2年生の川口真理《かわぐちしんり》は、演劇部員だが小柄で女顔とあっては、いつも舞台ではお姫様役ばかりなのが悩みだった。演劇部にはもう一人、Ｇコースに本物の芸能人の相田清《あいださや》がいるが、真理は気迫でいつも彼に負けてしまう。そんなある日、Ｇコースに有名タレントの遺児の山下みやびが編入してきた。みやびは当然のように演劇部に入部して、この秋の文化祭では、真理と清のダブルキャストでオペレッタ『シンデレラ』が演じられることになる。そして真理の実力を密かに認めていたコーチの秋山透から、大宝の青春歴史群像の映画のオーディションを受けるように勧められる。みやびと共にオーディションに臨んだ真理は見事に合格し――。

「桜は大嫌いだ」。そう言いながら、母校の桜陵学園に勤める結崎和也は、高校生時代にアメリカ留学した経験を持つ美貌の『冷たい目のピアニスト』だった。初恋は和也の心の扉を開け、世界をバラ色に変えていった。しかし、その思いは恋人の事故死によって無残な記憶と化したのだ。長じて、音楽教師として母校に戻った和也だが、人嫌いの彼は、準備室にこもりがちな異質の存在だった。そんな彼の前に留学生として現れたのは、亡き恋人の弟＝チャールズ・バード。チャーリーは屈託のない無邪気な恋心を和也に抱き、和也の古傷を容赦なくえぐる。ついにキレた和也は、音楽室のグランドピアノの上で教え子をレイプしたつもりだったが、捕らわれてしまったのはどちらだったのか。過去の恋に縛られた和也に、新しい愛が生まれようとしているのか？　動揺する和也の目の前でチャーリーがバイクで傷つけられた瞬間、和也は我を忘れて飛び出していた……。