僕の心は沙漠と同じ。不毛な、死の世界……。片恋破れ、死を求めてアラブの沙漠をさまよう高校生・高澤杏里。しかし、少年を迎え入れたのは、死神ではなく、鷹の目をしたライール国の首長(シーク)、マフムードだった。ここでは自分が法だ、と言うマフムードの命令で、杏梨は彼の“奴隷”としてその邸で暮らすことになる。朝に夕にとその色を変える沙漠……そんな沙漠にも似たマフムードに、杏梨は翻弄されつつも次第に惹かれていく。杏梨はライールで生きていく決意をするが、アラビアン・ナイトのような宮殿には、美しい女性たちが住むハーレムもあって、シークである彼との恋の成就は望むことさえできない禁忌であった。そんなとき、ライールの秘密を狙う盗賊に杏里は誘拐され,彼らに犯されそうになり……。行くあてない日本人少年と、精悍な青年シークの不器用な恋は、沙漠にかかるオーロラのように儚いものとなるのか……。